gjvs
- 1442006
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「5分でいいから、時間をください。夜9時に行きます。」
3週間ぶりに会う彼女は、いつもどおりデニムのパンツに白いセーターでやってきた。
鉄の階段を下りてくる音にシンクロするように、僕の胸の鼓動は早くなる。
缶コーヒーを僕に手渡すと、こう切り出した。
「忙しいのにごめんなさい。わたしとあなたでは生き方が違うことにやっと気づいたの。」
やはりそうか。
「わたしがわたしでいられるように、あなたはあなたでいて欲しくて、きちんと話をしたくて、だけどなかなかあなたの忙しいペースの中できちんと話をする時間をお互いとれなくて、いいえ、わたしがその話をすることから逃げていたからかもしれないけど、この1年くらい…でも、どうしてもこれ以上、先延ばしにすることに耐えられなくなってしまって、忙しいのは分かっていたけど、メールや電話なんかで終わらせたくないと思って…。」
彼女は、話の区切りを一切つけずに、そうやって1時間以上も話続けた。
「…ごめんなさい。5分間だけで時間をとってもらおうと思ってのに。」
「1時間と5分になった。」
どうして、僕はこういう言い方しか出来ないのだろうかと思う。端的に相手を追い込む戦い方を幼少の頃から仕込まれてしまっているからだろう。
「そうね。ごめんなさい。本当はたださよならを言いにきたの。さようなら。」
多分、またいつか会うことのないさようなら。
僕らの6年間は、そうやって唐突に終わった。1時間と5分で。時間の占有率、彼女が99パーセント、僕は1パーセント。