2005年02月 バックナンバー
大塚くんの部屋へ
- 1522005
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作戦会議をしようということになり、大塚くんの家に招かれた。
大塚くんの家は、かっぱ塚のすぐ近くにあった。かっぱ塚の裏の林を抜け、防空壕跡に入り、その奥にある土でうまくカモフラージュされた扉を開けると、かっぱの集落があったのだ。僕が生まれていないころの日本の風景とはこんなものではないだろうかと思われる“懐かしい”色調の街並みだった。その集落の中でもひときわ目を引く大きな建物が大塚くんの自宅で、縁側から直接家に入り、2階にある大塚くんの部屋に入った。
「ちょっと見ていてください。」
大塚くんはそう言うと、大きな木のブロックを積み上げ始めた。僕に背を向けまま慣れた様子で次々とブロックを積みあげ、瞬く間に“家”が完成した。
「これを壊してみてください。」
大塚くんは、木で作ったブロックの脇によけ僕を手招きした。僕は、いいのかなと思いつつ、ブロックの上半分くらいを押し崩した。大塚くんは、僕の行為を見て悲しいそうな顔をした。
「ごめん。僕だって壊したくなかったんだよ。大塚くんが作ったものだし。だけど、大塚くんが壊してくれって言うから。」
しばしの沈黙の後、大塚くんは狂ったのかというくらい木で作った家をぐしゃぐしゃに蹴飛ばした。それは、いつまでも続いた。僕は唖然として見ていたけど、大塚くんの白い靴下に血がにじんでいるのを見てから我に帰り、大塚くんを羽交い締めにした。大塚くんは、それでも足をバタバタさせて木のブロックを蹴ろうとする。顔を見ると、涙でぐしゃぐしゃだ。
「だから、人間は駄目なんです。壊すことさえ出来なくなってしまっている。壊すときは、いっぱい壊さないと意味がないんです。お父さんが言っていました。人間は創る力があるのに、壊すことを忘れている。恐れている。壊さないから創れないんだ。かっぱと人間は、ずっと昔一緒に生活していたんだよ。だけど、人間は自分たちだけで何でも出来るからと、どんどんかっぱを隅の方に追いやって、人間たちだけで生活するようになった。そして、創ることも壊すことも出来なくなった。お父さんたちは、ぐしゃぐしゃに壊すつもりだよ。壊してみて、何も創れなかったら乗っ取るつもりみたいだよ。僕は嫌なんだ。力で乗っ取るなんて。仲良くしようよ。みんな仲良くしようよ。」
大塚くんは、僕にしがみついたまま延々と泣き続けた。
無茶苦茶な話で、唐突な話で、どっきりだったら、あまりに手が込んだ仕掛けだけど、僕はなんとなく本当の話かもしれないと感じ、それはそれで大変で、だけど何をどうやったらいいのか分からないまま、大塚くんをぎゅっと抱きしめたまま散らばったしまった木のブロックを眺め続けた。
モーカル
- 1022005
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こんな企画がアメーバブログで進行中らしい
よっしゃぁ、妄想ブログ代表としてエントリーするぜぃ。
このブログのどこをどう切っても、この企画にうってつけのような気がするのは気のせい?===================================================================
(そして本編です)
『儲かる(もうかる)』という日本語の語源には2つの説があるそうだ。
その2つとは1,「牛(モー)+COW(カウ)」から「儲かる」になった。
2,「牛(モー)+飼う」から「儲かる」になった。どちらにせよ、明治時代、文明開化の波に乗って、牛肉を食すようになって以来、子牛を飼って成牛にし、それを売ることが庶民の中で大流行した中、「儲かる」という言葉が生まれ、それが『牛』にまつわるものになったということ。
信じるも信じないもあなた次第です
大塚くんの出発
- 0522005
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かっぱの大塚くんに
「なんとかなるように、なんとかしてください」
と頼まれて1週間がたった。もちろん、翌日もその次の日もいつも通りのコースを走ったけど、大塚くんはあの日以来、かっぱ塚に現れなかった。釈然としない気分のまま、毎朝決まったコースを走っているうちに、僕は大塚くんに会うことをとても楽しみにしていたことに気付いた。
もはや、大塚くんがかっぱであろうが、かっぱ塚から見える景色が変わってしまおうが、どうでもよかった。大塚くんに会いたかった。変な話、初恋の女の子が、ある日突然、転校してしまったような気分だった。
小雪のちらつく日、僕はいつも通りのコースを走った。
大塚くんがいた。スーツのアタッシュケースという、ものものしいけどかわいい格好で。
「おはようございます。スイミングスクールの合宿に行っていました。」
「あ、あ、そ、そう。」
「この間の話、考えてくれましたか。」
考えてはいたけど、考えがまとまるはずはなかった。だけど、こう言っていた。
「僕でよければ、やってみるよ。」
大塚くんは、アタッシュケースを投げ出すと、かっぱ塚のまわりをぐるぐる走り始めた。
「やったぁ、やったぁ。」
走りながら、平泳ぎをするときのように手をすいすいとさせる。
「やったぁ、やったぁ。たくさん泳げるようになったし、いいことばかりだぁ。」
なんだか、僕もうれしくなった。なるようになればいいさ。もしかしたら、ヒーローになれるのかな。
「では、明日から作戦会議ですね。」
大塚くんは、そのまま泳ぎながら帰って行った。
サコがいる場所
- 0422005
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お元気ですか?この間は、急な手紙で驚いたでしょうね。
最近、より信頼出来るルートを紹介してもらったので、もしかしたらこれから時々手紙をかけるかも…です。さて、わたしとあなたが抱えていた問題は、“曖昧なもの”に対する考え方の違いです。
あなたは、“曖昧なもの”を好み、わたしは嫌いでした。
わたしはあなたのように“曖昧なもの”の中で楽しく泳ぐことができなかったのです。わたしは、その日に起きた問題はその日のうちに解決したいタイプだったのに対し、あなたは明日出来ることは今日しないタイプだった。
そしてわたしたちは、現在の選択をすることにしたの。
あなたは記憶を消し、わたしは姿を消す。わたしのいる場所は、モノクロームの世界です。
白と黒で構成されています。ここはわたしが望み選んだ世界です。
白と黒の世界では、すべてのことがシンプルです。
濃いか薄いかしかないのですから。なんだか眠くなってきました。
またお便りします。