2005年01月 バックナンバー
こだわり
- 2512005
-
僕は、変なところにこだわるところが多々あって、その中に
「白いお皿を汚さずに食べる」
というのがある。ということで、半熟卵は難敵。薄皮をフォークで破って、グリグリしつつ、白身と一緒に食べるのが一番美味しいのは分かっているけど、黄身でお皿が汚れるとすごくブルーになる。だから、目玉焼きはカタカタに作るか、大口あけて半熟目玉焼きを一口で食べるかどちらかだ。
多分、損をしていると思う。最もおいしい食べ方で食べられないのだから。しかし、それ以上に白いお皿を汚すのイヤなのだ。
フライにソースをかけるときも、細心の注意が必要だ。ソースが、白いお皿にこぼれるのはNG。しかし、ソースが大好き。だから、少々行儀は良くないが、フライの表面に箸やフォークで、プツプツと貫通しない程度に穴を開け、そこに染みこむようにソースを垂らす。
変なところにこだわること多々。
今日は、その中のほんの一例を紹介。
みなさんは、「マイ こだわり」ってありますか?
ロック系のエンジニア
- 2312005
-
かっぱの大塚くんとは、それから毎朝会う。もちろん、場所は“かっぱ塚”前で。30過ぎの僕と、10歳前の大塚くんで、どんな話をしているかというと…実に多岐にわたっていて、加えて僕が大塚くんから色々教わっているような状況。よく跳ぶ紙飛行機の作り方から、国際経済の裏側まで。じつに大塚くんは、ものごとをよく知っている。そして、10歳前のボキャブラリーで話してくれるので、この上なくシンプルで分かりやすい。
「ところで大塚くんは、そういったことをどうやって知るの?」
大塚くんは、ちょっとだけ寂しそうな表情をしたけど、すぐにいつもの笑顔に戻ってこう言った。
「お父さんから教えてもらうのです。僕は、かっぱだから学校に行けないのですが、その分、お父さんが何でも教えてくれます。お父さんは、偉い人なので、何でも知っているのです。」
ちょっと意地悪かなと思ったけど、こう尋ねてみた。
「じゃあ、お父さんはどこでそんなに沢山のことを知るのかな。」
「お仕事でだと思います。お父さんは、朝早くから夜遅くまで休みなく働いていますから。」
「お父さんのお仕事は何?」
「ロック系のエンジニアです。」
「ロック系のエンジニア?」
「そうです。お父さんが言うには、世の中は、すべてロックなのだそうです。“壊して創る”…つまり、世の中の色々なものを壊してから新しいものを創るための装置を設計しているのです。だけど、最近、勝手な人間が増えすぎて、そのバランスが崩れていると、お酒を飲み過ぎたときに言っていました。かっぱの力が及ばないと嘆いていました。そして、やりたくはないけど、勝手な人間たちに“ぎゃふん”と言わせてやるしかないと言ったのです。その“ぎゃふん”のはじまりに、ここから見えるこの景色を選んだとこっそり教えてくれました。」
「そんな大事なことを僕に教えてくれていいの?」
「本当はいけないことです。だから、内緒にしてください。だけど、僕は人間や動物、植物がいっぺんに沢山死ぬようなことは嫌いです。怖いのです。と言っても、僕のような子どもが何を言っても、かっぱの世界では、その意見を聞いてもらえることはありません。だから、こっそり、ここに来て、こうやってこっそり教えてしまっているのです。お願いです。なんとかなるように、なんとかしてください。」
僕は、黙るしかなかった。大塚くんの言うことは、あまりにオカルトチックでそのまま受け入れることは出来ないけど、彼との交流の中で、彼が嘘をついたり、知ったかぶりをしたことは一度もなかった。
「なんとかしたいけどな。でも、僕には、そんな力があるとは思えないよ。ジョギングして、僕である必要もない仕事を毎日こなして、ビール飲んで寝ることをただ毎日繰り返しているだけの大人だから。」
「僕は、そうは思いません。お父さんが言っていました。“早起きする人間は、ほぼ真人間だ”と。だから、勇気を出してお願いしたのです。」
「そうか…お父さんがそう言っていたんだね。うむうむ。ちょっと考えてくるね。」
ややこしいことは苦手なんだけどな。
手紙
- 2112005
-
僕は、郵便受けを毎日見る習慣はない。そこに入っているのは、DMか公共料金などの請求書くらいだから。払い込みは、自動引き落としになっているので、通帳の中をある程度満たしておけば、請求書を見る必要もないし。大事な要件は、メールで送ってくるしね。そういう理由で、郵便受けの中は、戦場のような状態で紙類が押し込まれている。
いつものように朝のジョギングから帰ってくると、その郵便受けの差し込み口に鮮やかなオレンジ色のA4サイズの封筒が入っていた。その色があまりにきれいだったので、手にとってみると差出人の住所どころか、宛先の住所も書いてない。書かれているのは、僕の名前だけ。その字になんとなく懐かしさを覚えて、その場で封筒を開けてみると、1枚の写真とブルーともグリーンともとれるような微妙な色合いの便せんが入っていた。そこに書かれている内容は、もう何百回も呼んだ。おひさしぶり。そして、ごめんなさい。わたしは、あなたが“サコ”と呼んでいる女性です。そして、あなたと4年間一緒に住んでいました。その間、あなたは、わたしのことを“サコ”と呼んでくれ、大事に大事にしてくれました。それは、今のわたしにとってもかけがえのない時間でした。わたしが、何故、姿を消したのか?それはまだお話することはできないのです。ただ、これ以上あなたを混乱させたくないのでこういった形でお知らせすることにしました。わたしが今いる世界からあなたに手紙を出すことは、とても困難なことで危険を伴うのですが、わたしにとってあなたは何よりも大切な人なので、手紙を出してみます。きちんと届くといいのだけど。そして、ポストを見る習慣のないあなたの手元まで到達することを願います。
実は、ある時、わたしとあなたは、ある大きな問題を抱えてしまったのです。大きな問題というよりは、深い問題といったほうがいいのかもしれません。その深い問題であなたとわたしは長い時間かけて話し合いました。それは、出口のない議論だったかもしれません。しかし、わたしとあなたは幾晩も話し合いました。そして、出た結論の結果が今の形なのです。
“あなたは記憶を消して、わたしは姿を消す”
そんなこと不可能だと思うでしょう。わたしもあなたも、そう思ってました。しかし、その方法は、インターネットを使うと意外と簡単に見つかりました。
見つかった時、もう一度、よく話し合いました。そして、結論は同じでした。
わたしは、あなたの見えない世界にいます。そして、その世界を往来できるのはわたしたちの飼っていたネコくんなのです。わたしとネコくんは、うまくやっています。というより、ネコくんのネコくん中心で世界が動いているから、それがどこの場所であっても、ネコくんはネコくんなの。
わたしは、いつかまたあなたと暮らしたいと思っています。だけど、今は無理です。もしかしたら、ずっと無理なのかもしれません。だけど、わたしはあなたを待ち続けるでしょう。
では、お元気で。
カーステレオから聴こえてきた
- 1412005
-
「木綿のハンカチーフ」
松本隆作詞・筒美京平作曲恋人よ 僕は旅立つ
東へと 向う列車で
はなやいだ街で 君への贈りもの
探す 探すつもりだ
いいえ あなた私は
欲しいものはないのよ
ただ 都会の絵の具に
染まらないで帰って
染まらないで帰って恋人よ 半年が過ぎ
逢えないが 泣かないでくれ
都会で流行(はやり)の 指輪を送るよ
君に 君に似合うはずだ
いいえ 星のダイヤも
海に眠る真珠も
きっと あなたのキスほど
きらめくはずないもの
きらめくはずないもの恋人よ いまも素顔で
口紅も つけないままか
見間違うような スーツ着たぼくの
写真 写真を見てくれ
いいえ 草にねころぶ
あなたが好きだったの
でも 木枯しのビル街
からだに気をつけてね
からだに気をつけてね恋人よ 君を忘れて
変わってく ぼくを許して
毎日 愉快に過ごす街角
ぼくは ぼくは帰れない
あなた 最後のわがまま
贈りものを ねだるわ
ねえ 涙拭く
木綿のハンカチーフ下さい
ハンカチーフ下さい
かっぱのオオツカです
- 1312005
-
僕の毎朝の日課は、過酷なジョギングだ。朝起きると、どんなにきつくても…いや、むしろきつい方がいいのだが、一口だけミネラルウォーターを飲んで家を出る。そのまま、高塔山という小学生の遠足スポットの頂上目指して走る。
きつければきついほどいい。
そこの頂上には、『かっぱ塚』という塚がある。全国各地にあるようだが、この辺りにもかっぱ伝説があって、それゆえの塚が鎮座している。そのかっぱ塚が、僕のジョギングコースの中間地点であり、休憩場所だ。酸欠状態になった脳に、徐々に酸素が送り込まれるのを楽しむ場所でもある。
もちろん、今朝もいつも通りかっぱ塚目指して走った。いつもとちがったのは、先客がいたことだ。小学高学年くらいの少年が、僕が走ってくるのを待っていたかのように、かっぱ塚の台座に座っていた。
「おはようございます。」
その少年は、きわめて正しく挨拶をした。まっすぐ、こちらを見て。
「おはよう。早起きだね。」
「久しぶりです。こんなに早く起きたのは。いつも、お昼くらいに起きるんです、僕。」
学校は?と言いかけてやめた。言いたくない事情があるかもしれないからだ。
「今、『学校は?』と思ったでしょ?」
ドキッとした。
「僕は学校に行ってないんです。かっぱですから。かっぱに学校はないんです。」
わけわからない展開になってきたぞ。
「信じてもらえませんよね。僕がかっぱだってこと。」
「信じないというよりは、びっくりだよ。だって、頭にお皿もないし、見た目は人間だし、来ているものも、それはこのあたりの小学校の体操服じゃない?」
「着ているもので判断してはいけませんよ。外見で判断してはいけません。かっぱだって体操服を着たいのです。というわけで、今日はご挨拶にやってきました。今後もよろしくお願いします。」
お願いしますって、何、何、何?やや酸欠状態のままの頭で必死に考えていると、かれは、ぴょーんぴょーんと人間離れしたバネを発揮して、裏の藪へ向かったかと思うと、くるりとこちらを向いて大きな声でこう言った。
「僕の名前は、オオツカ。大きい塚と書いて、大塚です。ここから見下ろす景色を覚えておいたほうがいいですよ。近いうちに、大きく変わるってお父さんが言っていました。僕のお父さんは、かっぱの中では偉い人だから、色々なことを知っているんです。どう変わるかは、今度お教えします。では、さようなら。」
ぴょーん、ぴょーん。
ここから見える景色が変わる。かっぱの大塚くん。わけわかんねー。
まあ、いいや。携帯で、写真を撮っておこう。
ポストカード配布のお知らせ
- 1212005
-
ちょっと前にお知らせしましたように、ポストカードの配布をします。
木寺氏の写真に僕の妄想文章をつけた、ちょっとだけ“粋”なカードです。
反響があれば、今後、定期的に発行していこうかと話し合っています。
作るからには、たくさんの方に届けたいので、どんどんお知り合いの方やショップなどにも紹介してください。まとめて郵送するもの可です。
僕らのさみしい財布の中身が、空っぽになるまでは“無料”です。
そのかわり、、なんかください。(嘘です)郵送を希望される方は
『郵便番号、住所、氏名』を明記して下記のアドレスまでメールにてお知らせください。
言うまでもありませんが、個人情報を悪用することはありませんし、悪用のやり方も知りません(笑)。
どしどしご応募ください。
お待ちしてま~す
極彩舞踏会
- 1112005
-
開演してから、そのダンサーは舞台の中央に立ち、身をかがめた。まるで獲物を狙うヒョウのように。
舞台の袖のある1点を見据え、長い両手を広げた。舞台と客席は、照明の降り注ぐその音さえ聞こえるくらい静寂で張りつめている。
これから、何が起きるのだろう?誰もがそう思っていたに違いない。
左手が動いた。いや、性格には左の肘から先が動いた。1度、2度…延々とその動きが続く。
どれくらいの時間がたったのだろうか。左手のその動きはまだ続いている。
そして、止まった。同時にすべてが静止した。空間、時間…思考。
ダンサーがはじめて客席を見た。いや、こちらを向いただけで見ていなかったかもしれない。ほんの少しだけ、白い歯が見えた。微笑んだのだろうか。
舞台の幕が降りる。
僕の左手は、汗でじっとり濡れていた
お正月集合写真に我思う
- 0712005
-
少子高齢化が進むらしい。それにつれて、僕らは大変になるらしい。
だけど、実感としてとらえることが出来ないんだよね
新年シニカルシンキング
- 0512005
-
“パワースポット”と呼んだらいいのだろうか、僕のお気に入りの場所がある。そこは、まさしく神々しい雰囲気で、耳を澄ますと滝が逆流するような轟音が心に響く。杉並木が整然と立ち並ぶ山道を登りきった場所にある直径10メートルに満たない円形の空き地。何も祭られていない祠(ほこら)が鎮座し、その対面に二人座るのがやっとなくらい大きさの丸太が転がっている。
今年は、元旦の朝から大雪が降り、家の前を流れる川以外は、すべてが白に染まった。車にチェーンを装着し、ゆっくりゆっくりその場所に向かう。山道と言っても、山の上にあるわけでなく、30メートルくらいの小さな丘に向かうゆるやかな道だ。その麓の竹藪の脇には車1台分の開きスペースがあり、真新しい雪が積もっていた。その雪にタイヤの跡を付けてしまうのは、なんだか勿体ないような気がして、タバコ1本吸う間だけ躊躇したが、結局、車を停めるためにゆっくりと前進した。
祠(ほこら)も丸太もいつも場所にあった。傘をさしたまま、丸太の雪を払い、途中、コンビニで買ってきた缶コーヒーを開け、雑誌が入ったままのコンビニ袋を座布団のようにして丸太に腰掛けた。
いつものように耳を澄まし、吸い上げられるような墜ちていくようななんとも言えない感覚に身をまかせていた。
「宇宙人は存在するのだろうか?」
これまで考えたこともないクエッションが僕の頭を占領しだした。宇宙人というのはひとつの例えで、存在するものの定義を考えていたというか…そんな状態。目に見えるものは、すべてが光の屈折を眼球を通して脳が認識する。つまり、光の干渉を受けないと僕らには、“見えない”のだ。“見えないこと=存在しない”。そんなことをとどめもなくぐるぐる考えていた。
では、この場所はどうなのだ?何も見えないけど、何かを確実に感じる。気のせいか?いいや違う。
ナニカガアル ナニカガイル。
光とは別に音のことを考えるともっと分かりやすい。人の耳には、“可聴領域”があり、その帯域を外れると聞こえなくなる。コウモリには聞こえても、人には聞こえない音があるのだ。では、光の世界にも同じようなことがないのだろうか?
あるような気がする。見えないだけで、存在するもの。“概念”とか“魂”とかそういった類のものではなく、“物”として存在するけど見えないもの。
「宇宙人は存在するけど、見えない」
なんか、そんな気がしてきた。だからどうというのではなく、存在するけど見えないものがあれば、なんだか楽しい…そう思った。
元旦の大雪の日に、35男が無邪気に考えている姿は滑稽だけど、僕自身としては、とても満足のいく結論を得た。
直近の生産性0の思考の積み重ね。なかなか、そんな時間を作ることが難しくなっている昨今、幸先の良いスタートだ。